ポイント
- 言語の専門家が書いた書籍で、通常の育児本とは異なる視点を与えてくれる。
- 言語特有の音の聞き分けに1年かかる
- 物に名前があることに気づくのに1年かかる
- 言葉は生きるのに必要だから、努力して覚える。
育児の二大ベンチマーク
育児において、「話す」と「立つ・歩く」は2大ベンチマークです。
障害を持っていない限り放っておいてもいずれは話すようになります。
私は話すのも立つのもかなり遅く3歳になってからだと聞いています。両親は随分心配してあちこちの病院で検査を受けさせたそうです。
本書では専門家がことばにフォーカスしてその習得プロセスを説明してくれます。
育児本とは異なる視点からの内容で、ヒントに満ちています。
言語特有の音の聞き分けに1年かかる
胎児の段階でも音を聞いています。言語に特有なリズムは認識できるようになります。
生まれたばかりの赤ちゃんは、すべての音を拾おうとします。しかし、すべての音を拾おうとするので、ノイズだらけの状態です。
次第に一部の音の区別を捨てるようになります。例えば、日本人はRとLの音が区別できません。日本人の赤ちゃんも生まれたときには、RとLは別の音として拾うのですが、ずっと日本語の音をきいていると、RとLの区別ができなくなります。
それぞれの言語の音を聞き分けられるのに1年くらいかかります。
物に名前があることに気づくのに1年かかる
音を音節の塊として認識できるようになると、次のステップは、物に名前があることに気づくというステップです。
盲目のナイチンゲールが物には名前がある気づくシーンは、多くの書物で引用されているので、ご存じの方も多いと思います。
先生が「ウォーター」ということばを発しながら、ナイチンゲールの手を水に触れさせたのです。ナイチンゲールは物に名前があることに気づきことばを覚え始めます。
赤ちゃんもナイチンゲールと同じステップを踏むのです。
多くの場合、初めに覚えることばは「ママ」と「パパ」です。赤ちゃんが生きていく上で重要なことばだからです。
少しずつことばを覚え始める
言語特有の音を認識し、物にはことばがあることを理解すると、少しずつことばを覚えるようになります。
最初はゆっくりですが、やがてハイペースでことばを覚えるようになります。
初めは単語を1つ発することしかできません。2歳になる頃には2つの単語を並べることができるようになります。
助詞もいずれ使えるようになります。
ことばは必要だから覚える
赤ちゃんはことばの天才で、やすやすとことばを覚えるのではない。
生きるために必要なので、努力して覚えるのです。
だから、オーディオやビデオを流しても効果はないようです。