隣の部屋から「ちいさい、ちいさい」という音が聞こえてきた。
初めは何のことか理解できなかった。
また聞こえてきた。「ちいさい、ちいさい」
ひょっとしてと思い、隣の部屋に行った。
みーみが「ちいさい、ちいさい」としゃべっている。
間違いない。
いつも聞かせている歌の一節だ。
「リスさんがマスクした」と出だしの部分を歌うと、
みーみが「ちいさい、ちいさい、ちいさい・・・・」と続けた。
正しくは「ちいさい、ちいさい、ちいさい、ちいさいマスクした」と続くのだが、
そこまで正確に歌うことはできない。
でも、そんなことはどうでも良い。
初めてしゃべったのだ。
その日は一日中嬉しくてしょうがなかった。